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2015年7月24日 (金)

おじさん救出作戦

飲み会を終えたわたしと妻は駅に向かっていた

小雨降りしきる深夜00:00をとうに回っている

7月の雨の路面には少し匂いがあるように思った

夏の急な夕立の匂いではなく、もっとずっしりと

肌にまとわりつくような匂い


飲み会のメンバーは異業種のオーナー

毎回思うのだが、そのパワーと飽くなき探求心

お酒を飲んでいても、相手から吸収してやる好奇心

サラリーマンとの飲み会とは180度違い

会話の内容レベルが桁違いなのだ



『今夜の会はどうだった?』

『ステキな方達ですね』

『次回の約束はしていないけど・・・』

『奥様もご一緒にいかがかしら?』

『そうだね』

妻もこの会を気に入っているようだ


駅に着き、南口のタクシー乗り場に着いた

一台も停まっていない


北口に向かう

いわゆる繁華街に向いてるタクシー乗り場であって

平日だと、ひっきりなしにタクシーが出入りしている


ちょうどタクシーが入ってきた

わたしと妻は軽く手を上げタクシーを止めた

すると、わたしたちの後から走ってきた若者2名

『あー間に合わなかった』と残念がっている

『君たち乗りたいの?』

『うん 乗りたい!』

『じゃぁ 先に乗ったら?』

『ラッキー!』

『おい せっかくなんだから乗れよ』

と、自分が先に乗り込み、一緒の友達を乗せようとしている

その友達はどうしようか迷ったあげく、乗って行った



『行っちゃったね』

妻にいうと 『いいわよ』

『雨も降ってることだし、待ってようか』

妻と、深夜のタクシー乗り場のベンチに座ることにした

まとわりつくような湿度と、下から湧き上がってくる雨の匂いがしてきた



その時だった

バタっ!

妻の後ろの方で倒れる音?がした

深夜のタクシー乗り場は、ほんのり明るい程度なので

どこになにがあるのかは分からない

音のした方向をよく見ると・・・

人が倒れているではないか

薄暗くて分かりにくいが、若い人ではないようだ

急いで駆け寄り、その人をみると

うつぶせで地面に倒れている

この時間のこの場所である

間違いなく酔っぱらいのおじさんである

わたしはおじさんをベンチに座らそうと、抱き抱えるようにして持ち上げた

重い・・・実に重い

いくら力を入れようと重いのである

『せーの』 妻の声である

負けじと 『せーの』

いつの間にか妻はわたしの反対側に回り

酔っぱらいのおじさんの肩を担いでいたのである



3度目の掛け声とコツを掴んだ二人の共同作業は実を結んだ

『うぅ~ん』と言いながらおじさんはベンチに座った

フラフラしている

『ちょっと支えてあげてて』

妻におじさんを預け、タクシー待ちの場所へ行く



わたしと妻がおじさんを起こそうとしているとき、数台のタクシーが着き

数組のタクシー待ちの方達が家路に向かっていったのである


タクシー乗り場には、わたしと妻、酔っぱらいのおじさんだけである

先頭のタクシーに近寄り左後ろの窓をコンコンと叩く

(ふつうなら近寄れば開けていただくのだが・・・)

少ししてドアが開く

『すみません あのお客さんを乗せてあげてほしいんですけど』

『ハァ?ダメダメ あんな酔っぱらい絶対乗せないよ』

『じゃぁ わたしが付いて行って降ろしますから』

『あんたが?』

『ハイ わたしが責任を持って送り届けますから』

『あんたが責任?』

『ハイ 責任を持って送りますから乗せてください』

『酔っぱらいだよね そのおじさん』

『ハイ だから責任を』 すかさず

『あんた赤の他人でしょ ダメダメ絶対乗せられないよ』

『・・・そうですか』

バタン!閉められてしまいました


振り返ると妻は、おじさんをベンチに座らせ倒れないように支えている

わたしの方を見ながら“どうだったの?”と聞いている

首を横に振るしかなかった・・・



二台目のタクシーに近づいた

わたくしと妻の行動、前のタクシーとのやり取りも十分わかっていたと思う

ドアは開かない

コンコン 左後ろの窓を叩く

コンコン

ドアが開いた

『ダメだよ』

いきなりだった

『あんな酔っぱらい 乗せられないよ』

ダメもとで同じことを言った

『わたしが責任を持って送り届けますから』

『あんた 一緒に飲んでたの?』

『いいえ』

『そのおじさん 酔っぱらってるよね?』

『そこで倒れられたみたいですので』

『んなら 吐くかもしれないってことだよね』

『そうかもしれません』

『おじさんが吐いたら あんた責任持てんの?』

『責任って・・・掃除くらいならさせてもらいます』

『そのおじさんが途中で寝たら あんた責任持てんの?』

『ずっと話しかけてますから』

『そのおじさんの家が分からなくなったら あんた責任持てんの?』

『とにかく 責任持ちますから乗せてあげてください』

『だめなら 警察行くからね』

『ハイ いいですよ』

『なら 乗っていいよ』

妻は不安そうな顔をしている

おじさんは頭をがっくり下げ、妻の支えがないと崩れ落ちる体制だ



『この運転手さんがが乗せてくれるって』

『ホント よかったね』

『オレ このおじさん送っていくから、悪いけど君は次のタクシーで帰ってくれる?』

『わたしも一緒に行くわ』

妻の意外な言葉だった

妻は明日も仕事

このおじさんの行き先もわからない

仮に松江とか大田なんてこともありえるはずだ

一瞬財布の中身を想像してみたが・・・なんとかなる範囲内だった



妻とわたしは、おじさんを左のドアから後部座席に乗せた

おじさんはムニャムニャしている

妻は前に乗り、わたしはおじさんの隣に乗り込んだ

『運転手さん お願いします』

『どこへ行くの?』

あぁ そうでした おじさんの家方面でしたね

『おじさん 送って行くから 家はどこにあるの?』

『うぅ・・・うぅ・・・う~ん・・・ドーム』

『運転手さん ドームみたいです』

『ドームね あんたら変わってるね』





暫く走り、ドームが近くなってきた

『おじさん ほら ドームがあそこだよ』

『○/*-△橋を・・・』

『橋? 橋を左?』

『右だ・・・右・・・』

『はい右に曲がったよ』

『こりゃ・・・ど・・・こだ・・・わからん』

『運転手さん もう一回まわってみてくださいますか?』

『ホラ 酔っぱらいはこうなるんだよ』

チッ っと舌うちしながらもう一回、南方面からドームへ向かう道に入ってもらう

『ホラ おじさん 橋だよ橋 ここをどうするの?』

『ムニャムニャ・・・』

『エ?なに?なに?』

『○7/-8%ムニャムニャ・・・ここ・・・でいい』



ここのお家?


そのお宅は家の中には明かりがき、敷地も広く

大きなお宅のようです

足元のふらつくおじさんを抱え玄関まで送ると

『あんた・・・世話になったけん 上がって一杯飲んでいくだわ』フラフラしている

玄関をガラガラっと開けるおじさん

『おーい おーい 帰ったぞー』

わたしは そーっと玄関を閉めタクシーに乗り込みました

その時別の部屋で明かりが点きました



『運転手さん行ってください』

『あんたに迷惑かからなくってよかったね』

『迷惑なんて考えてませんよ』

『ふ~ん』

タクシーは動き出した

『そういえば あんたお金貰った?』

『エ?お金・・・ですか?』

『おのおじさんからタクシー料金 貰ったの?』

『いいえ 貰ってませんよ』

『あんた・・・』

『バカですかね ハハハ』




『あんた なんであのおじさん助けたの?』

『なんでって・・・倒れたじゃないですか 運転手さんも見てたでしょ』

『だから拒否したんだわ』

『人が倒れたら助けるんじゃないですか?』

『だって どう見ても酔っぱらいだよ』

『酔っぱらってても倒れたら助けないと・・・』

『酔っぱらいは助けられても覚えてないよ』

う~ん めんどくさくなってきた・・・

『まぁ いいじゃないですか 』

『あんた 楽しそうだね』

『変ですかね?』

『変だよ^^』


少し沈黙

『運転手さん ○○までお願いします』

我が家を告げた

『エ!?○○?』

『ハイ ○○ですけど何か?』

『あんた ここと全くの逆方向だよ』

『そ・・・そうですね』

『あのおじさんがこっち方面だって知ってた?』

『そんな 知りませんよ 乗ってから聞いたんですから』

『あんた・・・』


沈黙・・・


何かマズいこと言ったのかな・・・

妻も黙っている



タクシーは市役所の近くまで来たとき

運転手さんがメーターに手を伸ばしたのが見えた



『カチャッ』


メーターの料金表示が消えた


『アレ 運転手さんメーターが・・・』






『こっからは・・・オレの・・・おごりだよ』

『そんな・・・ふつうに払い』


『エエよ エエよ おごらせてくれよ』






また沈黙しちゃったじゃない・・・



『その信号を左に曲がってください』

『ココだね』

『その街灯の向こうの家です』



静かにタクシーは停まった

請求された料金を支払いました

『有難うございました お世話になりましたね』

『あんた・・・』

『良いご縁がありますように おやすみなさい。』





翌日、昨夜の事を一言も話題に出さなかった妻が

晩酌をしながら



『あのおじさん 今夜はどうしてるのかな?』

『また 飲んでんじゃないの?』



かくいうわたし達も飲んでいるのだが・・・と、いう夢。




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コメント

え!っ!?

これって

ポーラ、テレビ小説?

ほえながら、読んでたのに~~♪

ランチタイム終了のひと時に・・

うるうるしたやないかぁ~~~~~~

良いご縁がありますように

カバオ!さん>じゃっかん筋肉痛なり^^

長男様>帰宅時間 ちょいと遅くなりました ヘヘヘ
全てのご縁に感謝します。

良いことをなさいました♪
なかなかできることではありません♪♪
ハードボイルドタッチな文章にも乾杯!

次男様>照れます ポッ

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